「Words and Bonds」は、今回の大災害に当たり、おおぜいの皆様に、無償で読んでもらえる文芸作品を集めたメールマガジンです。被災されたかた、そうではない地方のかた、外国のかた、同業者、幅広い読者を対象にしています。「復興書店」内で、執筆を呼びかけたところ、島田雅彦さん、よしもとばななさん、高樹のぶ子さん、大友良英さんら、大勢のご賛同をいただき、いいだしっぺということで、僕が編集作業を担当することになりました。ほぼ週間を予定していますが、現在は勢いをつけるため、3日おきくらいのペースで、新作をアップしています。掌編小説、エッセイ、詩、ルポルタージュと、ジャンルはまったく問いません。
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よろしくおねがいいたします。
Words&Bonds 編集担当 いしいしんじ
2011年12月
そっと起き、きのうのポトフー、手を合わせてひとひ用の「こどもコッペパン」たべる。創作、途中でひとひ起きてきて、やはり一発で「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」引き当て、おもわず正座し、「いったいなんでこんなことができるんですか」ときいてしまう。1階で園子さんが掃除機をかけているあいだ、ロイ・オービソン、ルイ・アームストロングのシングル、そしてゼルキンの弾くモーツァルトのピアノ協奏曲をまるまるきく。ウイー満腹、という顔のひとひを1階につれており、朝ごはん支度の園子さんにバトンタッチ。2階でそのまま創作つづけ、1階では、一度声がやみ、そのあと1時間くらいできこえだしたので、寝たな、とわかった。外ははっきりしないくもり。昼に虫がだいすきな感じのスパゲティ食べ、みんなで買い物にいこうか、とうばぐるまを出したところで、粉砂糖をまくみたいな雨が降っていることに気づいた。園子さんひとりで出かけることに。見えなくなるまでふたりで手を振り、うばぐるまを玄関に突っ込んだら「え、いかへんのん、いかへんのん」とぐずぐずいいだした。抱きあげ、リパッティの弾くリストを蓄音機でかけ、そのあと電子オルゴールに合わせて歌ってあげたら、3コーラス目くらいでフカー、フカー、と寝息をたてだした。横で大竹さんの「見えない音、聴こえない絵」再々々・・読。何度読んでもはじめて読む感じがする。園子さん買い物からもどり、ひとひはスースー寝ていたが、2時間チョイでうにうにうにと起きだす。抱きあげ、そのまま近所を散歩してまわる。路地奥のかわいい女の子とお母さんがひとひに挨拶してくれる。犬のノーティはいなかった。鴨川べりの銀杏はだんだんとボーズになっていた。夷川ダムの疏水の道は銀杏の葉で金色のじゅうたんが敷かれた道になっていた。一周して帰る。園子さん即お風呂のお湯をいれてくれる。その間、ポータブル蓄音機のコロちゃんでエアDJ。ノリノリ。じゅうぶんに寝たあとのお風呂は極楽な感じらしく、ずっとゴキゲンでへんな主張もない。風呂上がり、園子さんのおっぱいのあと、ものすごく活発にハイハイで動きまわり、蓄音機でない、電気で動くポータブルプレイヤーに目をつけ、ずるずるとひきおろして「かけて、かけて」と訴えてくる。こないだひとひ自身が肘うちでレコード針をとばしてしまったプレイヤー。針はこっそりとりよせておいた。フリーの「マイ・ブラザー・ジェイク」をかけると電気がはしったみたいになる。2階からみずからもってきた、チャック・ベリーの「ベイビー・ドール」ではちゃぶ台に手をつき腰を振って踊りだした。そしてヤッパリかけてほしいのは、ひとひレコードコレクションのうちに1枚、ノルウェイのじいさんたちによるポルカ。チョーごきげんで笑っている。そのうち大きな蓄音機でもSP盤をかけてほしいとせがみだし、うちの居間は、ポータブル電気プレイヤーで45回転シングルがまわり、ポータブル蓄音機のコロちゃんでぬいぐるみやCDが(無音で)まわり、大蓄音機でリパッティのピアノがまわる、という、世にもめずらしい空間となりはててしまった。7時に晩ごはん。焼き豆腐、ブロッコリーとにんじんのせいろ蒸し、里芋の味噌のせ、焼きしいたけ、連子鯛の塩焼き。ひとひは豆腐、しいたけ、そして今日はブロッコリーをよくたべた、途中から鯛ごはんもたべた。それでも回転するものへの偏愛はとまらなかった。ノルウェイ・ポルカ、フリーをかけているうち園子さんの手があき、2階でおっぱいはじまる。9時半現在なんの物音もきこえてこない。
2011年12月2日(金)しゃしゃっと起き、パンとスープ。来月ジュンク堂用の選書とコメント、今月ガケ書房用の選書とコメント。そうこうするうち、ひとひが起きてくる。いきなり箱のなかから一発で「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」をひきあてたのは驚いた。それからスモールフェイセズ、マーヴィンゲイなどきき、9時過ぎに園子さんに連れられて下へ。僕はタクシーでKBS。ひさしぶりにゲストなしの単独放送。かけたのは、「月の沙漠」「DONT YOU WORRY ABOUT MY PET」「I WANNNA BE YOUR BOY FRIEND」、アマリアの「SAUDADES DE TI」、デューク・エリントンの「BUGLE CALL RAG」、共通点はぜんぶ、B面ということ。1週分だけ終えうちにかえり、するとひとひがスースー寝入っていたので丸太町重い物センターへ持ちあげにいった。お昼は近所にできたうどんの「あたご」。団体さん、女性ふたり客、もとおねえさん四人組と、座敷にいるお客さんそれぞれに、まんべんなくモテ、ひとひ満悦。モテたあまり、かどうかはわからないが、うばぐるまに乗らなくなり、抱きかかえたまま梶さんの「あ花音」へ。しばらく梶さんが働いているところを3人でじっと見る。カッコイイ。来年のイベントの話を簡単に終え、すると園子さんは、サルが立っている器に釘付けになった。同じ作家さんの器で、豹、ウミガメ、鯉など、いろいろある。ひとひ、けんめいにアピールするも、動物器の魅力に園子さんがまいってしまっているのをみて、僕に抱きかかえられるまますごすご外へ、白川の疏水みにいく。でもやっぱりおっぱい。すると、やはりひとひは磁石くんなのか、ガラガラと戸をあけて原山さんがはいってくる。いろいろなタイミングが折り重なっていくのが京都の縁。梶さん、原山さんに手を振り、ワープしてうちへ、すぐにお風呂。バスクリン風入浴剤のにおいがひとひにしみこんでいる。風呂上がりのおっぱい、受けとって縦抱っこし、リパッティのSP盤、「ゆりかごのうた」で寝息をたてはじめる。となりで「花咲く乙女たちのかげに」読了。つぎはいよいよ「ゲルマントのほう」。その前に読まんとならんもんごまんとある。洗濯機にお湯そそぎいれ、國田屋さんをでむかえる。6時過ぎにひとひ目覚め、ぐずぐずうなっているので、蓄音機でクリスマスキャロルかけ、復活したポータブルプレイヤー・ヴェスタックスで、WILL YOU LOVE ME TOMORROWかけるとノリノリ。晩ごはんは、菊菜ときのこのおしたし、手羽先ポトフ、かしわとたまねぎのソテー、いかげそとねぎのにんにく炒め。食後ちょっと蓄音機。歯をみがいて就寝。
2011年12月1日(木)みんなで寝坊。ゆっくりと起きだし、ひとひは一昨日からのお気に入り、ルイ・アームストロング「この素晴らしき世界」、ロイ・オービソン「オンリー・ザ・ロンリー」みずからプレイヤーに載せてかける。ごはんー、と園子さんの声に、ごはごはごは、ごはーん、とこたえ、ひとひと一緒におりていく。2階でミュージック・ライフ原稿おわり、つづけて「日本からきました」ニューヨーク編を書きあげる。昼前に1階の居間がしずかになる。寝ついたか、おっぱいを夢中で吸っているのか。両方でした。昼過ぎにタッチ交代、蓄音機でクリスマス・キャロル集をかけ、スパゲッティをわしわし手づかみで食べ、ハイハイカフェへ様子みにいく。吉川くんはまじめに働いていた。ひとひの顔をみるなり、「社長、顔が、顔がずいぶん変わりましたねえ!」。たぶん2週ぶりぐらい、そのあいだに別府をさしはさんで、ひとひは内面からふくれあがるように大きくなり、そして今日はなぜかずっと二重まぶた。あとからやってきた男性ひとり女性ふたりのふしぎなお客さんたちも、カワイーね、カワイーね、と連発し、ダンディな感じの男性は、「きれいな女性になりや」といっていた。ひとひは顔の感じ、そしてクルクルの巻き毛からいつも女の子にまちがわれる。うちに帰り、お風呂。口でお湯を触るのがだんだんと得意に。ガラスの皿にそっとせっけんを置くのも上手になってくる。日々これ成長。風呂上がりのおっぱいの最中に寝入り、ぼくは横でゲラ、Eメールの返事書き、プルースト読み、洗濯物の手伝いをする。ひとひ起き、リパッティのワルツ集を蓄音機でかけるとがぜんもりあがる。晩ごはんは。土鍋湯豆腐(自家製ポン酢で)、小松菜とオキアミの焼き浸し、青梗菜ときのこの煮浸し、鮭のムニエル、いかのしおから。ひとひは青梗菜の割いたもの、きのこの割いたものをしばらく熱心に食べ、途中あいまあいまにおっぱいにしゃぶりつき、そして園子さんが鮭を焼いてきたら、もう必死で「しゃけ、しゃけ!」というようにからだをゆすり、ごはんも豆腐も無視、もう「しゃけ」しか食べない。ボニーんちのルルもそうだったけど、しゃけは小さい子にこんなに人気があるのだ。今月中旬に会う「さかなクン」に、どうしてかきいてみよう。






















