2008年9月

2008年9月30日(火)
朝から創作。雲があって魚がいて。シャケが跳ねて。まあそんな日があってもいいじゃないか。シャケとして火で炙られるんでさえなければ、園子さんは用事で昼前の電車で東京へ。夕方まで創作。美ヶ原で重いもの。ニセ自転車まわす。帰ってきて風呂にはいって、晩ごはんは火で炙ったシャケ、タマネギとニンジンスープ、肉じゃが、水菜サダダ。よっぽどあたたかくなった。座敷に腹ばいになって別れる理由よむ。

2008年9月29日(月)
朝から創作。港ってサー、ホーント船がよくはいってくるネ。エエー?! 昼に昨日まで山にのぼっていた松本マニアの喜多さんと合流し、まつかにいったら都合でしまっていた。うなぎが逃げたのでは。ゆうべ寒かったでしょうといったらめっちゃ寒かったです、と喜多さんはそれさえ楽しそうだった。木曽屋はあいていた。松本マニアとして喜多さんアルプ顔。恋の甘煮ちゃう、鯉ダネ、それから柳川、うなぎ蒲焼き、きのこと、とうふ田楽を食ーべた。上がそういっております、という仕事相手の話。上て。左がいっております。斜めがむくれております。喜多さんを駅に送り、帰って創作つづき。夜は遅めにシャケの頭のみそ汁、肉豆腐、アジの塩焼き、おくら納豆、水菜サラダ。うなぎといえばポーの話が新潮文庫になった。外見はそのまま縮小されたといった形なので遠くにおいておくと空間がミョンと歪む感じがしてオモロイ。源氏物語。

2008年9月28日(日)
朝から創作。曇っていてときどき晴れ。自主的に半ドンということにし、ドーン、ドーンと口でいいながら梓川村のくだもの祭へいく。皆ナシやリンゴやイチゴの格好をして押し合いへし合いしているうちグチュッとつぶれ、という祭でなく特産品の即売会。梓川村は果物とくにリンゴが有名でリンゴの木がいまたいへんきれいでさあ。子供のころ鳥取で小児喘息の発作が出、そこで二十世紀ナシを食べたらなんでか楽になったということがあって依頼ワタシは果物ではナシがとくに好きすですが外で食べたら三倍おいしいね、ナシ。あととれたてということも多分にあったろう。リンゴの袋詰めしたぶんだけもってかえれるというコーナーがあったが詰めすぎて重くてもってかえれない婆さんがおおぜいいた。そんな詰めはってグチュッとつぶれまへんか。それから前に園子さんがお国旅行でいった温泉施設にいくとえらい混みようだった。そこらでグチュッとつぶれていた。帰り着いて肉豆腐、水菜シラスおかかサラダ、カリフラワー甘酢和え、春菊の茎のきんぴら、サンマ塩焼き。自転車の世界選手権みる。イタリアチームの機転が車輪のようにまわり見ていてたいへん面白く自転車レースをはじめて見る人が見たら面白さに目が開くようなレースだった。フィレンツェの中嶋先生にオメデトウゴザイマスと電子メール書く。

2008年9月27日(土)
軽井沢にはヤッパ縁ナカッタ。午前中創作。昼は「世界海洋アトラス」ひらき、世界の港と漁場の自家製地図をつくる。地図は楽しいヨネー。3時半からまた重いもの、ニセ自転車こぎに美ヶ原温泉へ。急に寒くなっただねー、となんでおばちゃんばっかなんだろう、と考え、そうして土曜日だということを知り土曜日にはおばちゃんが出てくるのか。土のなかから。この運動施設は温泉がついているので会員になって風呂にはいりに来る人もいるかもしれない。そのほうが日帰り温泉よりよっぽど安いし。晩ごはんは、鮭の三平汁、湯豆腐とぬくい料理、春菊のごまあえ、カリフラワーのカレー風味甘酢和え、きのこ炊き込みごはん、牛肉のアスパラ巻ききのこ巻きマチコ巻き。園子さん、こたつスイッチいれていいですか、と猫にきく。アイ。そりゃあ猫やし。そして二十重ねのふとんで皆10時には寝ている。

2008年9月26日(金)
朝から創作。ときどき雨降っているらしい。松本にいて三崎のスナック会議に出ているトハ。またもや重いものとニセ自転車。今日は宣言します、こたつ、出します! 晩ごはんは塩豚のソテー、しらすとほうれんそう、アボカドのゆず胡椒、山辺のまいたけの網焼き、茹でた枝豆。園子さん録画映像みてジュリー! と興奮。うちの大阪の母は美容室にいってどないしまひょときかれたら「えーとねジュリー・アンドリュースいう感じにシテ」といっています。ジュリーがズバズバ流行っていたときに鯉のバッドチューニング、まちがえた、恋のバッドチューニングを見て爆笑した。サムライという歌が好きだった。えーとねサムライにシテと散髪屋でいってみたかった。

2008年9月25日(木)
朝から港創作。けっこう身体オモイのは持ちあげにいったせいだよね。イヤー太陽のセイサ。午後までやって、三時半からまたにせ自転車と重いもの。フハー、とノビていると園子さんブロロロと足立ナンバーの自動車でお迎えに。晩ごはんは木曽屋でうなぎ白焼き、柳川、豆腐田楽、園子さんは恋の旨煮の、まちがえた、鯉のうま煮の定食をたべた。そして芸術館で立川志の輔独演会。猿後家と、きいたことのない徂徠豆腐という噺をやった。志の輔は志の輔がやって初めてイヤーおもろいとおもうような噺を好んでとりあげてやるというのはからだをはっているとおもった。落語のために生きているのだ。イヤーおもろおもろおもろいな落語。駐車場では早く出たい自動車ドライバーたちによる修羅の道が寄り合わされそのなかにわれわれも引きずりこまれてしまう。よれよれ、よれよれ。イーカゲンニシテクダサイ! と園子さんは猫声で主張しわれわれは順当に出ることができた。

2008年9月24日(水)
朝から港創作。三崎がこんな風に螺旋状にでてくるトハ。午後までつづけ、黄色い光のなかひーさしぶりににせ自転車をこぎ、重いものを持ちあげにいく。働いている人たちにチョーひさしぶりですねもったいない来てくださいよと指摘される。アーイ。帰ってきて別れる理由よみ、風呂にはいり、晩ごはんはブロッコリーとエビのサラダ、冷や奴、けんちん汁、わらさの刺身、えりんぎ網焼き、手羽元の梅干煮。信州の人はカエルくわへんね、というとそうですね、お百姓の相棒だからじゃないですか、と園子さんはいった。夏のはじめに大合唱が響いていた田んぼではいま刈り取られた稲が天日干しされている。この季節のぶどうはここにあるのにナイアガーラ!

2008年9月23日(火)
朝から港創作。曇りとおもってたらドンドン晴れてきてイー秋晴れになった。興奮して午後散歩にでてしまう。モンシロチョウとモンキチョウがクスクス笑いながら飛びあっているが交尾したら子供はまだらかクリーム色かそれとも左右でちがうのか。彼岸花が一定間隔で植えられているのはなんだか気色悪いね。帰ってきて数行追加。園子さん時代劇。日が暮れてからかかしといういつもいくラーメン屋で園子さんは塩、わたしは味噌ラーメンをたべ、ジプシーキャラバンという映画をみにいった。生演奏でえんえんききたい音楽。冠婚葬祭のあいまに人間の日常はある。別れる理由よむ。

2008年9月22日(月)
曇りで重たく創作。匍匐前進で腹こすれる。園子さん腹イテテとなりそれならと腹巻きする。最近黒猫に一升瓶をくくりつけて酒をもってきてもらうことが多いけれど、カワウソと字が書いてある瓶を運ぶのに、黒猫は内心ジクジクとするものがあるのではないか。鯨のほうがええんか。というのも廊下の隅に立った園子さんがナーンカ一升瓶増えてますねと猫っぽくいったので。晩ごはんは、かぶの葉とえのきだけ、水菜のきのこソテーがけ、こんにゃくニンジンきんぴら、気合いポテトサラダ、そして王子のハンバーグ。王子が好んで食べるというだけでなく、大阪の王子商店街からやってきた牛のハンバーグで、子供のころはハンバーグという食べ物が好きではなかったけれど最近まあ好きかな、というたら園子さんはエ嘘でしょう、と衝撃をうけた顔をした。別れる理由よむ。11時に消灯。

2008年9月21日(日)
明け方からドシャ雨。朝創作にかかるけれど電波不良、途切れ途切れ。マー無理せんでよろし。モールス通信の本読み電波ききながら練習にはげむ。トトト、ツーツーツー、トトト。タ、ス、ケ、テ、グ、レ。ブルックリンのボニーに通信、東京に通信、京都に通信。電波にとってみて空間はどういうものか考える。夕方一気に創作。晩ごはんはキムチピーマンタマネギ豚肉炒め、おぼろ豆腐の冷や奴、干しエビと胡瓜、秋刀魚の梅煮、ほうれんそうのシラス和え。なぜいまシラスなのか、と園子さんにいうと旬ですから、といわれる。そうですねん。水温がさがったらしらすおいしなんねん。それにしても日本語ならラジオヘッドといやあいいのに。源氏物語。

2008年9月20日(土)
朝からツートトトと創作。ウーン、ぜんぶ信号で書いて、ミヨッカナー! 無茶やめなはれと猫ら。夕方、金色の光の庭にむけてスイカの種プップクプー。雨樋がつまりますからやめてと園子さん。庭におりていってプクプク種まきをする。晩ごはんは、長芋納豆、秋刀魚の刺身、レンコンのきんぴら、かぶの塩昆布和え、わかめサラダ、クレソンのサラダにサーモンのソテー。大阪の父に電話して呆れる。源氏物語。

2008年9月19日(金)
八時のあずさでお茶。初炭、そしてお昼にお客様が来られ薄茶点てる。午後四時、幻冬舎の皆さんと会い、年内の予定、できることなど話す。帰りのあずさ号で千年ということで源氏物語よむ。谷崎訳。最後まで読んだためしないけど今回はどやろね。家帰ったら昨日の原稿送られてへんかったと電話ありましたよと園子さん。雑誌の家という会社のコンピュータがあかんみたいやった。フツウの家送ったら無事トドキマシタ。よかった。晩ごはんはゴーヤチャンプルー、ダツ煮付け、きのことこんにゃくとピーマンの炒めもの、納豆のあぶらげ包み、しらすほうれんそう。自転車レースは地味になってくる。それは来週世界選手権があるし。源氏物語。

2008年9月18日(木)
ドヒー、忘れてた、朝からクロワッサン。タケニナガワでいまやってる大竹さんの貼貼貼のことを書いた。朝からなんだか熱っぽく昼食後自己流ヨーガ。吸って、長く吐ーいーてー。吸って、長く吐ーいーてー。吸って、長く吐ーいーてー。寝たあかんてー。午後ニナガワさんに電話していろいろきき、夕方にできたフー。香川県庁の増田さんとやりとり。喜多順子さんとやりとり。獺祭という酒飲んで猫祭。それは、カマスフライ、小ギスフライ、もずく酢、塩昆布、南京の炊いたん、キャベツ千切り、にんじんと小松菜の白和え、クレソンのサラダ。フライはやっぱりソースでよすねー、あたし、タルタルソースとかやっぱダメ、と園子さんは江戸っ子らしいことをいう。ラヒーリつづきよむ。園子さんは誰も寝てはならない漫画を読みながら寝ている。

2008年9月17日(水)
朝からモールス符号。いつかこういう日がやってくるとおもっていたヨ、ツートトツー。というのも、創作のなかでどうしてもモールスが必要で、調べるだけうちの本で調べて図書館いった。図書館は浅間温泉のそばだった。したら、エンパイアっていうスッゲーおもろそうな本あって、それも合わせて借りてきた。モールスの用はすぐすんだみたいだけれどこれからひと月はモールス漬けだよ。ウフフ、ウフフ。トトト、ツーツーツー、トトト。ブドウとりにくるはずの山辺のロードレーサーマリちゃん電話が一度あっただけで日がくれても来ず、自転車デートか、と園子さんと猫たち騒然となる。登れ恋の超級山岳。てキビシーてことジャンか! 風呂はいって、晩ごはんはヨホホ猫祭、茄子とピーマンの味噌炒め、南京の炊いたん、ラー油豆腐、ゴーヤおしたし、ムツ塩焼き、アカムツ煮付け。赤と黒ってなーんか料理として正統じゃなーい? スタンダール、ってユーカー。園子さんがくるり、くるりとあまりいうので目が回りそうになったが映画のぐるりのことをいっているのだった。ジュリー、アーンド、クレイジー・ケン・バンド。秋はコンサートの季節だ。そして恋の季節。マリちゃんから電子メールがあって、家で暢気にお風呂はいって忘れてタ! とのこと。ぜーんぜん山頂ゴールじゃーなかった。フハッ。ジュンパ・ラヒーリ短編集よむ。

2008年9月16日(火)
快晴の朝、「雪」三回目オワル。ほんまか? 見直すとやはり終わっている。真夜中の熊谷さんにオクル。午前中黒猫がまるいちボックス背負って駆けあがってくる。猫だけに。ボックスには、注文したムツ、サンマ、ダツ、アジの他、かますと小キスがはいっていた! 猫ら胡蝶の夢。美智世さんーありがとうー、と皆で手を振る。京都の山極さんから生物学の現場の本いただく。文春の岡さんに四以上のゲラオクル。なんか届いたり送ったりの日でしたな。晩ごはんは、秋刀魚塩焼き、むつ刺身、小松菜と油揚げ、えらいうまいきのこ網焼き、ピーマンとかまぼこのおかか炒め、枝豆、栗のポタージュスープ、大根おろしと大量のすだち。すだちって素晴らしいね、君、ひょっとしてすだち? ウフフ、あなたこそー、す、だ、ち。不動産情報みる。フハッ。高いとこは高いなあ。谷崎ラビリンス、そして「誰も寝てはならぬ」という漫画読んで猫と寝る。

2008年9月15日(月)
創作快調。昼に寸止めし、午後は曇り空の下ゲラ校正。アタイ曇り好き。眠くてもマーいいかっておもうから。テ意味わかんないシ。千葉さんから岩手の丁寧アイスクリーム、元まつやまの成田さんから栗、早川さんからすだち届く。そーゆうこともオトナだね。千葉さんに電話すると引越先のことで心配された。でも泊めてネともいっていた。よろしおす。夕方まるいちに電話しいろいろと注文。晩ごはんは、蒸し栗、カマス塩焼き、大阪の天々餃子、枝豆、もずくトマト、干しエビときゅうり。ゲラ丁寧にそして終わる。ゲラめくりめくり松本の秋の夜をみる。

2008年9月14日(日)
ドワー昼前。塩鮭のごはんもぞもぞといただき新宿歌舞伎町。昼間というのにフランスのたいそう陽気なタップダンスのショー。さすがに誰も酒のまない、とおもったら若者らは陽気にビールのんでた。ステージはじまり、半年間でここまで軽々と足が動くトハとおもったけれど、軽々というのはそれだけ集中して訓練してはじめてそのような自由さがうまれるのだと喝采。よかった。四時過ぎに外へ出るとこうこうとまだ眩しい新宿の光、て新宿ってコンナ感じだよネー、イ、ツ、モ。生徒指導の先生通りかかりユッコあせる。晩ごはんはチョー手早く電車に乗る三十分前にチヂミと鉄鍋ごはんをたべた。あずさはやはり、という人身事故でまた遅れた。そして松本はやはり湿気がない。家で背を伸ばして四以上のゲラ校正。夜は爽快にスペインの自転車レース。コンタドールて悪者っぽく強いという感じがするのはホンマに強いんでんな、ま、フグでも。

2008年9月13日(土)
よっととと目がサメ、日比谷図書館へ。調べ物はすぐまにあい、絨毯にあぐらかいて白秋全集よむ。渋谷へいき園子さんと合流、愛のこぼれだすホテルの立ち並んだ場所で映画「コッポラの胡蝶の夢」みる。驚き。身悶え。前のめり。放心。イヤー、ひさびさにみたド名作の映画だった。こういうのを東京でもひとつの映画館でしかやってへんというのはどないやねんな。夕方、渋谷の寿司屋で軽くのつもりが、しめさば、穴子一本、うにといくらのこぼれるくらい、アジやのどぐろなど食べてしまう。園子さんがこないださばいたかますのことを思いだす。二匹買ってきて腹を割くと、なかからまだ消化されていないアジがまるのまんま何匹も出てきた。それを自分たちは塩焼きで食べる。アジのカマスのニンゲンの入れ子状。アタイらもいずれ一周してアジのエサになるんれすねゲプ。渋谷の百貨店でお土産の焼き鳥とタコせんべい買い、地下鉄に乗って、麻布のタケニナガワギャラリーへ。大竹さんのShell & Occupy 第三弾「貼貼貼」オープニングレセプション。早めにいったらまだすいていて余裕で新作をみることができ、「胡蝶の夢」以上の衝撃を受けた。というのも、展示されている十数点の新作、図鑑ほどの大きさの白い額縁のなかに紙や海藻や工具やが貼り重ねられ、鮮やかな絵の具が塗られ、上からガラスをはめられた画面が、タケニナガワギャラリーの空間と時間を上から見おろしているようにみえ、そこはつまり自分らのいまいるところで、ギャラリーの壁にギャラリーがかかりその壁にもまたギャラリーがかかりまたその壁に、という無限の繰りかえしのなかにいま自分も巻きこまれている。胡蝶の夢、そしてカマスはそのようなことだった。ギャラリーの時間自体が作品になるとはそんなのは大竹さんにしかできないことだ。スゴイ。打ち上げはラッキー食堂。慶應のワタナベさん、東京都現代美術館のヤブマエさんらと久々に話す。憶良らは今はまからむ子泣くらむ。園子さんともどもBMXへ。都築さんとよーかんちゃんの話。池田さんとカウンターで小説の話。午前四時、大竹さんニナガワさん住吉さんらに手を振り、顔じゅう瞼のようになっている園子さんとともにタクシーで尾久の家。ふとんにはいりカマスを食べている夢を見ているうちカマスに吐きだされるのではないだろうか、とそんな夢。

2008年9月12日(金)
朝8時のあずさで新宿、お茶。竹台子の初炭。組合せの点前。組合せは建水、茶筅飾りはおおむね茶碗、という目的があるけれど、仕組みはぜんぜん意味がちがう、ということはもう何年いわれてもごっちゃになる。四時に辞去し、新宿のジュンク堂書店で園子さんと合流。紀伊國屋で内田百フの特集をみて爆笑。中央線で吉祥寺へいき、三ロードで日本酒一升、長野県のを買い、オンゴーイングにぶらさげていく。鉄割アルバトロスケットの学校。開演前ちくわ先生の奥村さんに故郷の話を拝聴。ナールホード。でも・・・ユッコ、修学旅行のお金どっか落としてきちゃったかもシンナイ・・・。苦学してタメタのに・・・。カラーンカラーンと授業開始の鐘が鳴り戌井さんあらわれ、社会や国語や音楽の授業がつづいて最後はちくわだった。来月京都公演があるそうでそれにもいくことになり浅草の店にも出ることになった。デハ、と手を振って出ていき、園子さんと沖縄料理屋でサラダ、ゴーヤチャンプルー、豆腐、豚の料理など食べる。まぼろしの猫たち泡盛で阿波踊り。四つ脚で尾久にかえってぐうとなる。アタイの修学旅行のお金・・・ア、クツにはいってた!

2008年9月11日(木)
秋の晴れ。創作よくすすむ。真夜中の主熊谷さんと電話相談。来週あけまで待ってもらうことになり、いっそう足の回転に拍車がかかり気がついたら夕方になっていた。晩ごはんは、ラー油豆腐、いんげん、秋刀魚塩焼き、大根おろし等。園子さんと引越の話。なるほどそうか、という風に住むところの方向きまる。二十年目にしてあっちのほう。この日記は七年前にはじまった。ブルーノ・タウトの1935年の日記よむ。

2008年9月10日(水)
朝起きたらヤッパ秋の晴れ。創作よい感じ。目も見えなくならず安泰に進む。画家のこーすけ。君から朗読というかその場の小説の依頼アル。あ、いーなコレ、これから「その場小説」ということにしよう。大城くんからブドウの礼状とどく。夜はパン屋の主マリちゃんを招きタイカレーの宴。トマト、いんげん、ラー油豆腐、カシューナッツなど。マリちゃんは自転車にのめりこんでいて毎日がんがん坂をのぼり今日は扉温泉までのぼってきたらしいてそれあんた強烈な坂でっせ。熊のような猫のDVD。夜は冷えてきて半袖の上にジャンバー羽織ってマリちゃんぶどうの香りの闇のなかまっすぐに灯りを曳いて走っていく。

2008年9月9日(火)
朝起きたら秋の晴れ。開館してすぐ図書館にいき、前に見つけた太平洋戦争中のインドシナでの記録文集「もやい綱」書き写す。昼から創作。熱中しすぎてか、途中で目が見えづらくなる。去年も一昨年もおんなじヨーナことがアッタ。しばらく目をつむっているとまた見えてくるので創作。座敷で園子さんはくらもちふさこの新しい漫画を読んで感激している。晩ごはんは、納豆モロヘイヤ、揚げ夏野菜の甘酢サラダ、ぶり照り焼き、笹身とゴーヤのごま和え。エリック・クラプトンが出ている番組。ジャック・ブルースとかキース・リチャーズとか名前がついているが君らどうして水木しげるの世界から出てこられたんだ。熊楠文集よむ。パンソリよむ。

2008年9月8日(月)
朝からくもり。園子さんの猫ハンドパワーでようやく立ちあがり、創作ヨロヨロと進む。小沢昭一「私のための芸能野史」よむ。ウワー出てきたー鉄割。晩ごはんは、空芯菜のバターソテー、カマスの塩焼き、にんじんとおからの和えもん、干しエビと胡瓜のサラダ、蛸とバジルのトマト煮。熊あん! と園子さんネゴト。かとおもったら腹ばいで栗田有起「蟋蟀」読んだはる。ちゃぶ台の上で遅くまでカナリアめくる。

2008年9月7日(日)
朝園子さんに送ってもらい松本駅からしなので名古屋、近鉄に乗り換えて四日市。メリーゴーランドの増田さんと改札前で合流。そば屋にいって、舌がまだしびれれる状態について話す。にがてなおばちゃんの話。そして本屋にいき、レクチャーの始まりで増田さんの誕生日だよといった。五分前につくった誕生日の歌うたう。そして今朝園子さんが金色のリボンを結わえてくれたゴーヤ一本渡す。ゴーヤ、五十八歳。そして昨日買ってきた楽器テルミンを渡す。といっても、大人の科学といって自分で工作するやつ。客席にむかって、エー今日のレクチャーが終わったらアンコールに増田さんのテルミンコンサートがアリマス、増田さん、それまで下で完成させて必死で練習してください、といって手渡す。レクチャーはほしよりこさんと常念坊で一日で作った赤ずきんの作業工程を文章と絵の原稿を交互にスクリーンに投影して再現した。四国の小説の話。親不知で流血の話。話しすぎて舌しびれれもふれう。終わったら、増田さんがあがってきて、ウワ、ウワウワ〜ンとテルミンを鳴らしてみせたのでさすがだとおもった。控え室で刺身のご馳走。名古屋から乗った電車で駅弁買うたら脂もんばっかしやしでかいしたべれへんやんけ。

2008年9月6日(土)
じっと創作。こんな日に雪でっか。といっても書いているものの話。真夜中にリトルモアにいく話になった。オーそんな人まで。夕方、増田さんにあげる誕生日プレレント買いに行く。アコーディオン、太鼓というのもあったのだが、園子さんがイーのみつけてそれにした。そして五十八ですか。風呂にはいり、晩ごはんは冷や奴、ゴーヤ玉子炒め、みょうがときゅうりの酢の物、秋刀魚の梅煮、牛肉のすだちしぼり、サラダ。スペインの自転車レースはようさん知った名前の選手がおる。アメリカの黄色いジャージ姿しかおぼえてない選手が復帰するという話におどろく。しかもボランティアで! 君もか! ユーツーか?!

2008年9月5日(金)
8時前のあずさで新宿へ行くと虫ドワーと燃えている。東京で毎日いる人はいつもお肌しっとり、テユーカ脱水。お茶の稽古は竹台子の中置き。大和さんにもらったみょうがをお土産にもっていくと喜ばれる。引越のことを申し上げ、すると今後の稽古のことが話題になり感涙。四時に辞去し、新宿紀伊國屋で文庫本三冊。帰りのあずさ珍しくあんまり遅れず、車内で「少将滋幹と母」よみ、時刻表の時間の三分遅れで松本駅にはいる。駅ビルで赤鉛筆かう。帰ってゆるい風呂にはいり、晩ごはんは九州の豆腐のみそ漬け、近くの焼き茄子、白菜中華風スープ、いんげんのごま和え、鶏と再婚の梅煮。ちゃう、大根。疲労しつつ「武州公秘話」。

2008年9月4日(木)
天気いい一日ずっと創作。東京のほうでは「うなぎのダンス」など徐々にできあがってくる。広松さんから今年は山に登ろうよというお誘い。ウアー、登りたいのは山々やねんけど。大竹さん、都築さん、湯浅さんに鶯谷のすごいスナック「よーかんちゃん」のテレビの映像をDVDにしたのを送る。日が暮れてから重光叔父さんに電話。えらい手術をして無事にでてきたばっかりということで何にせよよかった。大阪の父は足がイタイ足がイタイといっていた。晩ごはんはヘダイの煮付け、バジルとプチトマトサラダ、茄子ときのこの梅味噌煮、鶏と大根の梅煮、モロヘイヤおしたし、茹でた枝豆。西脇順三郎えてるにたす、失われた時よむ。

2008年9月3日(水)
朝おきて園子さんが部屋にいったら、鬼海さんはぐったりした声で「・・・ワタシはいま、奈良漬けです」といった。ゲラ。ゲラ、ゲラで午前中くれる。11月に文庫が出る「白の鳥と黒の鳥」のゲラ。それから山辺ワイナリー。大量にお土産の野菜買いこむ鬼海さんに影響されてでかいスイカによろける園子さん。昼はおいしい蕎麦ということでもちろん田舎家。テーブルに着くや、なにもいわないのにス、と生湯葉が出されてなんだろうとおもっていたらクロワッサンに書いたエッセイを読んで場所を調べわざわざ自動車で来てくれたかたがいるらしい。そば屋としていちばん嬉しいとおじさんはいっていた。鬼海さんも納得してすすりこんでいた。よかった。そして田舎家の駐車場から中央高速を通ってそして諏訪のサービスエリアで温泉はいって帰ります、といって鬼海さんはブロロロと帰っていった。午後は日記など整理し、きのうの硫黄のにおいをまだただよわせて風呂にはいる。そして晩ごはんの直前、園子さんはちゃぶ台の前に座り、鬼海さんごめんなさい、ワタシ、猫を裏切ることができなかったんです、と涙を拭くフリをした。園子さん猫にエビ刺。猫ら絶叫。そして盆踊り。そしてアジ塩焼き、カマス塩焼きとつづきアーそうか、猫祭ダッタ、ってアタイ気づいた。鶏レバー、小松菜、枝豆、満願寺網焼き。急に疲れ、寝床でアルトーよむ。イヤめくってるうちにう。

2008年9月2日(火)
午前中にクロワッサン。やっぱり気になってるモノのことになっちゃうのね。熊楠について書こうとしたらウイーンと音をたてて遠心力がかかり遠回りしてやっと戻ってくる、という文章になった。ヤッパすごいなー熊あん。まるいちの魚箱も熊あんに呼ばれやってきた。午後三時頃、鬼海弘雄さんこられる。ニューヨーク以来。まずドイツのSTEIDI社から出たばかりの鬼海さんの写真集「Asakusa Portraits」見せていただく。印刷のきれいさ、というか質感に仰天。色調はやわらかいのに輪郭がキリッと決まり、そうするとやわらかいという印象は向こう側があるといった、奥行きという感覚につながるかもしれない。日本の写真集であまり見た記憶がない。ただそれは鬼海さんの作品がその印刷技術に合っていたというか、あるいは鬼海さんの作品だから、そうなったのかもしれない。園子さん運転の自動車で、扉温泉の桧の湯。鬼海さんアブ一匹で来場の人ら全員と旧知のようになる。帰ってきて宴席。まるいちボックスには考えもつかないものがはいっていた。それは伊勢エビ。うわーワシ解剖したい! 大場さんの蛸ぶつ、鯵刺身、カマス塩レモン・・・しかしそういうものすごいまるいちの魚群にもしばらく食卓で待っていてもらったのは、鬼海さんがもってきてくれた未発表のインド、トルコの写真に釘付けになっていたから。風景、というのでも、場面、というのでもない。東京のでもそうだけれど鬼海さんが場所を決めて撮る写真は必ずそこにいる人間の気配をたたえているが、インドは、人間がいる、ということがたぶん他にくらべて抜群に強い土地で、必然そこで撮った鬼海さんの作品もそのようになる。広大なユーモア、人がうつくしいとはこのような顔、姿、形。人が人になっていらい連綿とつづいてきた時間を、一瞬ごとに開いていく感じがする。それがいま全部自分の目の前で起きてる。園子さんも途中から加わり感激し横でもう息ができていない。この感激をお酒と刺身でのみくだし血肉とする。鶏レバー、豆腐のみそ漬け、野菜炊き合わせ、今朝農協にあった本物のきのこおろし、小松菜、サザエの壺焼き、かます塩焼き。都築さんが送ってくれたサキオリのカタログに鬼海さん感心。多田道雄、石牟礼道子、宗教の話。護法祭のこと。一升瓶、三合瓶。松本でこんな遅くまで飲んでたことがないくらい飲んだ。鬼海さんは旅館風に、われわれは布団部屋風に就寝。

2008年9月1日(月)
曇りでコワイ。こういう日は家にとじこもってモーローとしながら創作。園子さんフハッ、と吐息つく。九月の外を見まわしておもうのはデラウエア! という感嘆詞と庭がぐちゃぐちゃということだ。ぶどうと草。ぜんぜん草取りしてへんし。しかし熊楠とか護法祭とかカナリアとかいってるとずばずば生えてくる草を適当に抜くとかより生えてるのにまかせてそれをじっとしゃがんで見てるほうがおもろい。創作の合間にそうしている。晩ごはんは、アジ塩焼き、鳥のレバーのにんにくに、キムチの炒め物など食べる。スペインの自転車レースがきのうから始まっている。出走者リストをみてえらい豪華なのに驚く。フランスの優勝者、イタリアの優勝者が両方でてるのなんていつ以来。

ごはん日記でおなじみの
「まるいち魚店」
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いしいしんじ

【PROFILE】
作家。大阪生まれ。現在、三浦半島の三崎と信州の松本に在住。著書に小説『ぶらんこ乗り』『トリツカレ男』『麦ふみクーツェ』『東京夜話』(新潮文庫)『プラネタリウムのふたご』(講談社文庫)『ポーの話』(新潮社)『みずうみ』(河出書房新社)など、エッセイ・対談『その辺の問題』(中島らも共著/角川文庫)『人生を救え!』(町田康共著/毎日新聞社)などがある。お酒好き。魚好き。メカおんち。きれい好き。

いしいしんじの水洗コーナー
「湯浅湾」のCD「港」
湯浅湾 港
ただいまもっとも深く塩辛く波高い「湯浅湾」の「港」。港の内も外も水洗の渦巻きの激流です。boidのホームページから買うとboid store限定のオマケ「空おけ港」がもらえます。今日は港で獲れたひこいわしを焼いて食べました。
BOID.NETページ>
【最近の仕事 7/1更新】
▼ 出版予定 ▼
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●単行本
「赤ずきん」文いしいしんじ 絵ほしよりこ
(フェリシモ出版)
▼ 出演・催し物など ▼

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●クリエイティブ・ライティング特講
「小説を書く時間」 いしいしんじ
日時:7月3日(金) 16:20-17:40
場所:京都造形芸術大学 人間館NA401教室 >>
料金:一般1,000円(各回)/本学学生無料
問い合わせ:
TEL.075-791-9124(直通)
FAX.075-791-9127 
e-mail >>

●市川孝典個展 
VINTAGE BROWN にて
「クロージング朗読合戦」 
戌井昭人×いしいしんじ
日時:6月30日(火) 午後8時半から
場所:PLSMIS >>
入場料:予約1000円 当日1500円 (+ORDER)
問い合わせ・ご予約:
TEL 03-6459-2251 e-mail >>

▼ 連 載 ▼
●「京都新聞」夕刊 第1・第3月曜日にて
「京都猫文字日記」
こちらでご覧いただけます>>

●「真夜中」にて長編小説「雪」
●「読売新聞」にて「本のソムリエ」(不定期)
●「クロワッサン」にて
 エッセイ「ああ驚いた」
●BAR FLOWにて小説
「みち子の叫び」(CLIPPING 310141)
スクラップブックを使った佐藤理との共同作品
「祝い酒」(POSTER 141310373)ポスターを使ったOSDとの共同作品
ほぼ、月一回連載中

BAR FLOW
港区赤坂8-13-19インペリアル赤坂一番館地下B102
TEL.03-5474-1885(18時から26時まで営業、日祝休み)

▼ 寄稿・書評・コメントなど ▼

●週刊文春9月11日号に書評 
「四人の兵士」ユベール・マンガレリ著・田久保麻里訳
●別冊文藝春秋四月号にて短編小説
「渦」
●芸術新潮4月号にて紀行エッセイ
「バルザックの家とフジタの家」
●考える人春号にて海外小説
ベスト10アンケート+ドストエフスキー『白痴』エッセイ
同人誌「イルクーツク2」に小説
「塩浄瑠璃」

●別冊文藝春秋1月号に小説「峠」
●芸術新潮12月号にエッセイ
「踊るきのこ 南方熊楠の菌類図譜」
●週刊文春12月6日に書評
「灯台守の話」 (ジャネット・ウィンターソン著・岸本佐知子訳)
●別冊暮らしの手帖
「わたしの好きなインテリア雑貨」
にてエッセイ「わたしと本棚」
●かまくら春秋11月号にて
エッセイ「野性のエレキ」
●エスクァイア12月号にて
エッセイ「ハワイをやる」
●新潮社「波」11月号にて
「ジョン・アーヴィング『また会う日まで』刊行記念座談会」
●「圓太郎馬車」(正岡容著・河出文庫)に解説
●本の雑誌8月号にてエッセイ
「私のオールタイムベスト10 ばさばさと「めくって」きた本たち」
●飛ぶ教室夏号にて
短編「リキテンシュタインの法律」
●「西の旅」夏号にて短編小説「船」
●「パピルス」8月号にて短編小説「小包
●「ナンプレファン」8月号にてエッセイ「自分でも呆れる思いこみベスト9」
●東京人6月号にて座談会
「作家と画家、街の歩き方」
鬼海弘雄×大竹伸郎×いしいしんじ
●銀座百点五月号にてエッセイ「タッちゃんとカッちゃん」
●新刊展望五月号にて対談「『みずうみ』の水面と水底」(デザイナー・池田進吾氏と)
●ビッグイシュー日本版
69号にてインタビュー
特集「わからないからおもしろい」
全国のホームレスが駅前などで一冊200円で売っています。110円が販売者の収入になります。 
●「パウル・クレー 絵画のたくらみ」(新潮社・とんぼの本)にエッセイ「オルフェウスの庭で」


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【主な著作】

●「三崎日和-いしいしんじのごはん日記2」新潮社より発売中
●「東京夜話」新潮文庫より発売中
●「いしいしんじのキューバ日記」マガジンハウスより発売中
●「いしいしんじのごはん日記」新潮文庫より発売中
●「雪屋のロッスさん」
メディアファクトリーより発売中
●「人生を救え!」
(町田 康 :いしい しんじ)角川文庫より発売中
●「人生を歩け!」
(町田 康 :いしい しんじ) 毎日新聞社より発売中
●「トリツカレ男」
新潮文庫より発売中

坪田譲治文学賞受賞作
●「麦ふみクーツェ」
新潮文庫


●「ポーの話」
新潮社

●短編集
「白の鳥と黒の鳥」
角川書店

文庫版「ぶらんこ乗り」は、新潮文庫の100冊にはいりました。
●『ぶらんこ乗り』
新潮文庫

●『絵描きの植田さん』
ポプラ社


●『プラネタリウムのふたご』
講談社


第18回坪田譲治文学賞 受賞作品
● 『麦ふみクーツェ』
理論社

●『トリツカレ男』
ビリケン出版)

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いしいしんじさんの著作本はこちら】


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