2009年5月

2009年5月31日(日)
透き通る好天。朝から午後四時まで創作。寺町へいく途中なんや菓子もって歩く中学生の集団がやたら多いナア、いうたら園子さんはソーユー年頃ですよ、いうてた。犬をカゴに入れて自転車で走るのんは犬的視点から見たら散歩になるんやろか。紙の店で障子紙買い、アジサイ買い、三月書房で満州の本、屠場の本、水木しげる日本史、猫の絵で有名な人の本など買う。晩ごはんは、博多のうま馬餃子、みつばときのこのおしたし、ゆで蚕豆、グリーンサラダ、鯖醤油漬け焼き。ローマのタイムトライアル。顔必死。雨。これまで見たなかでもいちばん正座くらいのタイムトライアルだった。

2009年5月30日(土)
虫燃える朝。そのまま4時まで創作。鴨川むこうの重い物センターへ行くと新元良一さんがすでに持ちあげていて立ち話をした。新元さんは家に帰るのがいま楽しくて仕方ないという顔をしている。五時半に隣の食品店で園子さんと合流し、河原町通りの國田屋酒店にいって生ビール、と思たら、ご主人がコックをあけるやズボッ、ズズズボボズッ、と音と泡しか出てきいひん。ちゅん。緑色の缶ビール買うて鴨川の河原でアメフトの練習見ながら飲む。帰って向かいの辻さん親子と野球したらご主人が星ヒュウマのように肩をぴしっといわした。タイガくんとふたり野球に。ピンク・フロイドドイツ盤二枚届く。晩ごはんは、呼子のイカ焼売、肥後の辛子レンコン、ゴボウ胡麻和え、ブロッコリーおしたし、豚キムチ炒め。イタリアの自転車レース。ゴール前の地味な悶え。園子さんはゆうべパンクした夢みちゃったとのこと。

2009年5月29日(金)
掃除、洗濯、タカラヤでパン。まるいちへ挨拶にいくと皆休み明けらしく顔がつやつやしていた。美智世さんが顔を輝かせ、ソウ、あのね、いしいさんに薦められてグラン・トリノ見たのヨ。よかったー! あれ見ながらね、わたし、どうしていしいさんがこの映画を薦めてくれたんだろうって考えてね、あの主人公のおじいさんがね、どんどん宣さんに見えてきて、もう最後には宣さんの映画にしか見えなくって、わたしたち普段、のぶさんのことをどう見てるかしら、のぶさんに対してわたしたち、どっか最近まちがってやしないかって、そんな風に思ってね、いしいさんが薦めてくれて、ほんとによかった、ありがとう。と一気に話し僕は感激してきいていたが、美智世さん、俺まで見てないんですわ、というたら、ハハハそうなのー、と美智世さんは笑った。「チェ」がしんどかったはずやのに信用してみにいってくれはったとは感激です。11時にボニーから電話。もうすぐ三崎港へ着くとのこと。雪駄はいて出ていくと産直センターのところに手を振るダンとボニーとダンに抱かれたルルの姿が。自動車のボンネットにもたれているのはボニーのお母さんのヨウコさん。ルルはまだ照れている。うちへいって皆さんに京都土産渡す。ボニーのブルックリン土産はTシャツで、胸に、エドガー・アラン・ポーがジャンプしてダンクシュートを決め、とまっているカラスがPOE-DUNK!と啼いている絵柄。なぜポーが。皆でぞろぞろまるいちへ行く。宣さんとのんちゃんは外国人が好きである、ダンに向かって宣さん、アー、ニューヨークではヨ、みんなピストリ持っててイーノ? ダンに通訳すると、ウン、みんな隠れて持ってる、とダンこたえる。宣さん、フーン、ここいらでもヨ、みんな一丁ずつ持ってんヨ、どいつもちっちゃっけえけどヨ、といって股ぐらを触る。座敷のテーブルを取りまいて魚三昧。イサギ、マグロ、タイの刺身、エボダイ、ムツの塩焼き。ヨウコさんもボニーはルルの世話しつつオイシイオイシイ。ふだん腹が張るのであまり量を食べない人であるダンが、信じられない、信じられない、と連発して焼き魚を大半食べてしまったのは驚いた。ダンがこんなに食べるの初めて、とボニー。魚の顔面見るのがコワイというのにタイの頭と骨を持ってヒラヒラ動かしていくとムービーを撮ってユーチューブに出すといっていた。ルルはボニーの背中をかんでいた。三時過ぎにルル一行自家用車で横浜へ。掃除と片付けをし、湯浅さんにカイワリ、メイタ、カマス、アジ送り、自分の鍵を閉め、京急で品川、新幹線で京都。乗り換えは楽ですな。九時に家に着き、長崎ちゃんぽん食べる。

2009年5月28日(木)
朝創作しているとまたタイガくん遊びに来、幼稚園は、というたらシンガタインフルエンラで休みやねん!というた。昼過ぎてからリュック背負って三条京阪、京都駅、駅の広いところに修学旅行生の高校生がずらーと座っていて全員がマスクしていてシンナー中毒かと思た。昔は皆スーカスーカやってて教室はバラ色やったよなー、アカン意味で。車中でヌルハチの本。品川でジャックナイフの折り返しで京急三崎口。まるいちは昨日から連休で温泉にいってはるらし。ポパイに電話し、餃子と野菜炒めもってきてもらい、こないだの出前の皿を交換に渡すて、横着なおっさんやな。ゴーウ、ゴーウと音をたてて雨が降り城ヶ島がグラリ揺れる。かぶと、ドリフターズ、アルマ・コーガンなどばかでかくかけると家が猫化。

2009年5月27日(水)
朝から久々じっくり創作。辻タイガくん来てミーちゃん紹介してもらう。ミーちゃんとはヒミツの声で喋る少女である。落ちていたガムテープを服に貼ったりはがしたりすると興奮し、ビヨンビヨンやるやつ、いうから口琴もってきて鳴らし、鳴らしながらそのまま創作つづける。午後に自転車で下鴨の鯖寿司屋さんへ。宇和島の大竹さんに送り、家にダッシュで帰って畳をあげて、外の格子のところのガラス戸をはめるということをした。午前中園子さんが庭で洗ってくれていたのだ。雪駄ひっかけて橋わたって重い物センター。へトー、と疲れたあと、またもや下鴨の寿司屋さんへ。これは鯖のスピリットにとりつかれたわけでなく大竹さんへの挨拶の絵はがきを入れ忘れていた。それは涅槃図。帰りに河原町の酒屋さんに寄り、滋賀のお酒買い、生ビールはええもんですなと横目で見ながら自転車でうちへ帰る。外で自転車で遊んでいるタイガくんがいしいちゃーんと呼び、お向かいの旦那さんが、友達かい、おにいちゃんて呼ばな、と苦笑した。どっちでもええで。それにしてもタイガくんは幼稚園児なのに自転車コマなしというのは優秀やな今はみんなそうなんか。風呂はいり、晩ごはんは、からしめんたいこ、からしレンコン、かぶの葉のおしたし、じゃがいもサラダ、唐津のざる豆腐、ムツの塩焼き、豚肉とピーマンとパプリカの中華炒め。家を建てようとローンを組んで払い込んだらその住宅会社が倒産してローンだけ残ったというテレビを見た。えらい驚いた。いま、音楽にはハゲはダメっていってた、と園子さんはいった。

2009年5月26日(火)
朝にちょっとクロワッサン、昼前にタオ指圧。そして九州にいってラーメン、帰ってまたクロワッサン。九州にいま行って帰ってきた話をカキマシタ。テいうのモー、アタイと園子センパイとで、タッカシーマヤ、行ったんだよネー、九州物産展。そこでとんこつラーメン食べたら園子センパイ目がおかしくなっチャッテ、寄り目になっチャッテ、あ、なんか憑いたナー、て見てたらヤッパ猫が憑いテタ。それからの30分で猫センパイが買ったモノハ・・・宮崎サン農園の切り干し大根、熊本名物辛子レンコン、佐賀の嬉野の紅茶、博多のうま馬一口餃子、唐津の川島豆腐の豆腐みそ漬け、ざる豆腐、黒大豆ざる豆腐、浜王のきびなご、椒房庵の辛子明太子、長崎のがまだすちゃんぽん、皿うどん、天草まるけんのうにコロッケ、呼子の萬坊のいかしゅうまい、大分吉野の鶏めし・・・イジョウ! それでアタイは荷物もって家帰ってクロワッサン書いて夕方に終わりました。オシマイ。晩ごはんは連夜のまるいち猫祭、海老フライ、ムツフライ、げそフライ、アジフライ。アジ刺し、めといか刺。にんじんとキノコの和え物、グリーンサラダ、カブのオリーブオイル和え。人はうまい食べ物を前にすると猫になる。

2009年5月25日(月)
朝から猫文字日記。南座の騒動のこと書キマシタ。昨日までの疲弊がなくからだがボヤーとしているの。肉ヨク効ク。夕方歯医者へ行き、吉田寮が建て替えられるかもしれんという話をきく。園子さんが泣くやないか。テクテク歩いて重い物持ちあげハウス。肩の筋がおかしなる。肉過信。帰って風呂にはいり、晩ごはんは冷や奴、にんじん等のきんぴら、きのこ炒め、アジ刺、めといか刺、かますの塩焼き。ハッ、ここはドコデスカ、と周囲を見渡すとザッパーンと城ヶ島からの波が弾けて顔に水がかかった。イタリア自転車。えらいレースになってた。

2009年5月24日(日)
ひどく疲弊。チャフン。雨。手探りでレコードの溝触って音が聞き分けられる、そんな大人になりたい。昼前に矢野さんと連絡とりあい、お昼にまるいちで集合。三崎に新しくやってきたお医者さんの来田さんと初顔合わせ。店や銭湯や人がどんどん減っている一方の三崎で、なんにせよ増えるっていうのはイイことだよ、と美智世さんの名言。めといか、かます刺身、かます塩焼き。ヨロヨロと家の鍵しめ、坐古家に届け、品川から新幹線に乗り換えて京都へ。この数日間はジェットコースターで鳴門の渦潮に突っ込んでいるような感じだった。ガックリと玄関に荷物置いて土間に倒れる。ずるずると園子さんに引きずられ、肉のはふうへいきフルコース。チッキショー! 効ックナー、肉!

2009年5月23日(土)
養老先生モーロー体で起きて舎人ライナーで日暮里、有楽町、歌舞伎座。ヤットコ間にあった二階席。はじめの暫がやっぱオモロイ。なんちゅう格好でアンタ生きてるんですか暫。その服で飯喰えへんやろ。菊五郎があいかわらず人間としてどやねんというスゴイ感じで立っていてヤッパこの人はもう人間でない。非ジョーに疲弊しているのはずがどんどんムクムク前のめりにふくらんでいった。タクシーで日本国営放送。岸田さんに出迎えてもらい、402スタジオでラジオ番組の収録。明治の最初に録音された浄瑠璃、山城少将の録音やら、小沢正一が採集した音源など。ラジオてヤッパ楽しいナ。ずっと自分でとっかえひっかえしていたかったナ。ラジオ番組とかやってたのはもう十何年前とかになるんやね。フイー、とユッコ煙草吸う真似。タクシーで品川、京急で三崎、日の出の信号のところから商店街歩いていったらポパイの奥さんがいて出前たのんだ。いろいろ連絡。というより三崎の家の鍵忘れてまた由美ちゃんに鍵入れといてくれた。ドウモアリガトウ。ポパイの餃子と野菜炒めを食べつつ、夜中からスピーカーの音鳴らし。

2009年5月22日(金)
グラーリと頭ふりながら起床、山手線に乗り込めばケッコー頭が溶けそうに疲労している。お茶の稽古。昼前に草の点前。これじゃあ雑草ボウボウだ。昼から初炭、茶通箱見学、薄茶。五時半ごろホテルニューオータニの芙蓉の間の前で熊谷さんと合流。岡さん、角田さん、名久井さんナドなど。池田進吾さんの講談社ブックデザイン賞の授賞式とパーティです。大竹倫子さんと鯖の話。それから山本容子さんと10年ぶりくらいに会う。ケッコンしたんですわ、いうたら驚きヨカッタネーというてくれて、園子さん、岡さんらと一緒にオータニのハワイアンな外国人ぽいバーへいった。骨の器の杯。女の器の杯。チョウチョのお肉、それからエビ、というのが一押しデアル。容子さんはケッコン祝いに御馳走してくれた。ありがとうございました。遅れて慌てて池田さん二次会会場。ソファのところにしゃがんで短いお祝いの話かく。お祝いのスピーチやる。矢野さんと短く話す。ワインバーでマイケルと話す。角田さんと人の悪口の話する。それからカラオケボックスにはいってみーんなスゴイなー。解散はオトナっぽくちょっきり三時。アタイと園子さんは帰ったケードー、ホカのひとらがどーしたかアタイ知んないシ。

2009年5月21日(木)
朝起きて日記など整理。よく晴れている。午前中創作、冷やし中華を食べて、東銀座の新しい松竹のビル。大谷図書館で調べたいことをいうと、眼鏡をかけたキュートナ女性がこれが基本的な資料ですがといってどっさり持ってきてくれた。キツネのことも調べる。ウーン充実。3時半に関さんと遠藤さんに会い、これからの歌舞伎のことなど話をうかがう。文楽はコワイよねー、ユッコわかる。爺さん泣いたり笑ったり若いオンナの声だったりヘンだよね、でもオモロイね。四時過ぎに歌舞伎座の前にいったらすごい人でコリャーたいへんと思っていたら人の波にもまれながら、しんじさーん、と声をあげつつ園子さんが浮上してきた。ひとり桟敷席にはいったら京都では考えられへんくらい隣同士が他人他人他人。団十郎の大波。菊五郎のひどい役というかとんでもない芝居には心底感激した。エロキチ、バイオレンス。こんなひどい話ホカにないよネー、ゼッタイ。晩ごはんはユッコさ、桟敷弁当食べたケードー、マー、いっぺんでイーかなー。海老蔵の阿呆芝居。武田さん、園子さんと銀座サンボアへ。ビールやウイスキーちょっと飲み恋の山手線で帰宅。

2009年5月20日(水)
スーダラ。九時に起き、少し創作。昼から部屋を移るのでそれまで中華屋でラーメンを食べ、ディスクユニオンで新入荷棚を物色。あるところにはあるもんやね。二時に須貝さん来られ、いろいろと話す。生まれることと死ぬことはいちばんパワーがいるしいちばん大切なことだ。夕方まで創作。午後五時半に浅草のギャラリーエフ。夜の催しのために椅子の高さ調整し、蔵のなかで友吉さん、山ちゃん、いずみちゃんと儀式。それからエフの席で住吉さんを前に、こーすけと雑誌のための対談。大イタチはすごいね。どうせなら巨大イタチ。六時半ごろ終わり、フラリと浅草を歩き、吾妻橋を越えて住んでいたあたりを一周する。うなぎの東家は嬉しいことに、持ち帰りのみだけれど営業しているようだった。はいったことないけど餃子のうつのみ家も営業中。吾妻橋やぶはまだ戸がしまったままだった。橋をもどって七時過ぎにギャラリーエフ。43人のお客さん、プラス友吉さん、アタイ。今夜のその場小説は、友吉さんの琵琶といっしょにやり、「いしいしんじとその場琵琶」という題名がついている。蔵の正方形のフロアの対角線上に僕と友さんが座り、僕は小説を書き、友さんは琵琶を弾く。空気が揺れて蔵の形になる。いきなり蔵が燃えて焼け跡になったところからはじまったけれど、静かにつづいていき静寂に消えていく、琵琶の弦の音のような話になった。友さんの琵琶の音がこの夜はとりわけよくきこえた。耳元で弦を弾かれているみたいな。そのままの空気で終わり、終演後はレオナルドと七月にゴールデン街でやる写真展とそこに出す手作りの本の話。短編で参加すること決まる。いずみちゃんに呼ばれエフの二階でSP盤、写真など見せてもらう。歌舞伎座や新橋演舞場の五十年以上前のパンフレットに驚き。慌ててお貸しいただく。十一時半頃、園子さんとレオは銀座線からJR、アタイは都営地下鉄を乗り継いで宿へ帰る。

2009年5月19日(火)
歯に気をつけて朝ごはん。て思ったら右手がしびれて麻痺した感じ。指に力はいらずお箸とか持てない。ふだんから喋りのろれつが回っていないので園子さんにも判断がつかない。日記など整理。昼過ぎに園子さんとタクシーで京都駅、昼ごはんはろれつも回らないのに回転寿司をタベタ。回転寿司は宣さんと三崎でいって以来二回目だ。寿司でないものがたくさん流れてくる。タオルとか。駅構内で手みやげ買い、のぞみ号で東京。のぞみ号というのはもともと満鉄でも走っていたことを最近しった。ひかり号も。あじあ号ももうじき新幹線になって復活するんやないか。東京からお茶の水、高いところにあるホテルに荷物おき、タクシーで紀尾井町。こんな親切な運転手さんおらんというくらい親切で、新紀尾井町ビルの名前すら知らんかった紀尾井町の交番の巡査はどうかと思うで。バカになるような名前の西洋風のざらし喫茶で文春の岡さん、新潮の加藤木さんと京都話して連絡待つ。電話かかる。落ちる。「四とそれ以上の国」が今年の三島賞の候補にあがっていたのです。これで四回目カー、とユッコ、たばこ吸うマネしながら遠くを見る。「四とそれ以上の三島賞」ダネ。岡さん、園子さんと、近くのホテルの居酒屋に行き、そこへ池田さん、須貝さん、尾形さん、森さん、木村さん、武田さん来る。蚕豆、稚鮎のフライ、若竹煮など春っぽいもの注文し、しかし外に黒い服きたおっさんらがようけいてるなあ、なんやフロントの人がさっきジミントーの誰それとかいうてた、とか皆で話してると、個室のドアがさっと開き、ドヤドヤドヤと出てきた人波のなかに吉田茂の孫がいた。園子さんは夢のなかでデートするくらいの太郎マニアなのでサッと立ち上がるや、アタシちょっと行ってきますといって店の外のほうへ小走りでいき、少し経ってからガッカリした表情で帰ってきた。SPに止められたそうな。それから木村さんの知っている赤坂のグリニッジというバーへ、池田さん、武田さん、木村さん、園子さんといく。たいへん素晴らしい。この店が21世紀になっても営業されていることが。皆二杯ずつくらい飲む。タクシーでお茶の水のホテルまで帰る。 2009年5月18日(月)
長い一日。朝に熊楠エッセイ。目医者でコンタクトレンズはめる。うまれてはじめてソフトレンズをはめたけど異物感がなくて驚いた。ワイシャツがないので買いにいき、首まわりは34センチで腕の長さ80センチ。園子さんカバン見つける。猫がいまヘイからヘイへ伝った。夕方バスに乗って五条のブライトホール。太田ナツさんのお通夜。99歳。空気のなかに溶けている。そういう感じの光が会場内に満ちていて、それがうちへも伝わってきていると写真を見あげながら思った。さまざまなものがきれいだった。マルヨシさんに近所まで送ってもらい、晩ごはんは、そのまま歩いて川端をおりていき、「はな」という店にはいった。つけ出しのアナゴ寿司おいしく、ゴマ和え、サラダ、野菜の天ぷらも絶妙、明日からのツアーにそなえ牛肉を食べようと思ったその牛肉もむちゃくちゃおいしかったが、鉄板焼きの野菜がすごく、肉と同等かそれ以上の主役。園子さんはへしこ茶漬け。帰って正座してレコードきく。ケンさーん! アイ。

2009年5月17日(日)
朝から小雨。牧野エッセイ、昼前にオワル。渡辺エッセイ、昼過ぎにオワル。グググ、と初めて庭でカエルらしき声きこえる。夕方、橋を渡って重い物もちあげにいったら、帰りには小雨ふりだしてい、帰ったら園子さんから話があり、大家さんに電話する。明日お通夜とのこと。そうとなれば、この家にいっそう溶けてはる感じがする。晩ごはんは、うるいの酢みそ、ゴマ和え、まぐろ納豆、いか豆腐、生湯葉と長芋の炊き合わせ、蚕豆、鯖のカレー焼きと水菜とさやいんげんのサラダ。耳をすませて家のなかをめぐる空気の音を聞く。自分たちはいまこの家のなかにいるとくりかえし思う。

2009年5月16日(土)
植物学の牧野博士研究。雨。外へ出たら近所の女の子にかいけつぞろりかいてーといわれる。なんやそれといったら本もってきて見せてくれる。きつねが三銃士の格好をしたようなもんだった。歩いてジュンク堂、いって戻り、そしたらユッコまた鍵っ子にナッチャッタ! て、鍵ないシ! 太陽レコードへいき、ヨイトマケの歌、谷啓、勝新太郎。酒屋で酒と文化に関する熱い話きく。晩ごはんは、さより刺、タイと水菜の吸い物、ふきの佃煮、うるいの酢みそ和え、うるいゴマ和え、蚕豆、サバの塩焼き。サバやタイはまあ知ってるとして、さよりのあまりのウマサに驚き、さより照れる。雲の流れる涼しい夜。

2009年5月15日(金)
朝創作。昼前から丸太町の橋を渡り、ごった返す歩道の反対側で待っていたら葵祭の行列が来た。源氏物語のころはミスコンというかジャニーズというか、とにかく若い男女の色っぽい感じがあったんやろうけど、いまはわりと仮装行列みたいになってはる。牛は昔も今も牛やけど、馬はこんなせいの高い、洋馬ではなかったはずやんな。ペリーが指さして「あの犬のような生き物はなんじゃ」というたら通訳が「犬にござります」とこたえ、ペリーは爆笑した、という話があります。デモマー、京都は馬がふつうに道路を走ってるよね。道交法やね。図書館で牧野本大量に借りだし、夕方までヨム。歯医者に行き、詰め物を直してもらいながら、Pファンクのベース話きく。家に戻ってしばらくしてからOSD佐藤さんから電話あり川端通りで合流、うちへ。京都生まれの佐藤さんは京都の家に似合う感じがやはりする。こういうときにはおおきに屋。付け出し、タイとぐじとはもと。佐藤さんはだんだんまじめに味わいを確かめる顔つきになっていって、ベルギービールあかんねん、といいながらも、もっちゃんの出すビールだけは特別ちがうのだった。満足稲荷にお参りしにいかなければ。二条木屋町のK6で二杯ほど。三条を下ったあたりの佐藤さんの知っている木屋町の格好いいバー。よく飲みよく食べ解散。

2009年5月14日(木)
宿で読売新聞の原稿。「犬の気持ちがわかりたい、そうすると友達のこともよくわかるようになりますか」という女子高生からの質問にこたえる。犬より友達の気持ちわかるほうがムツカシーよねー、ユッコわかるシ。昼前に電車で向かった大正大学は、新設校かと思っていたら失礼いたしました、大正時代だから大正なのか。スゲー門だ、とユッコびびる。渡邊直樹さんがお出迎え。ふたりで学生の食堂にいくと、ものすごい行列で大繁盛している。あたいはきつねうどん注文したが、列の前の人の天ぷらうどんに、厨房のおばちゃんが「アラごめん! 汁いれんの忘れちゃった!」。汁いれてないと天ぷらうどんは食べにくいだろうね。岡みどりさん合流し、直樹さんの教室へいき、授業90分。教室いっぱいの学生さんの前で那智の滝の小説を書き、小説を書いている感じと読んでいる感じのことについてマイクで話す。終わった後外の大学のベンチに座っていたけど授業に出なくていいと大学ていうのは気楽なもんやね、ええ風も吹いてはるし。岡さん、渡辺さんと地蔵通り商店街へ。いろいろと露店が並んでいる。昼からビール飲んでる食堂で、冷や奴、薩摩揚げ、アジフライなど。ちょいと一杯のつもりで飲んで、東京駅から新幹線。夜の京都で引きずりトランク。

2009年5月13日(水)
朝からヌルハチの都。荷造りして京都駅。手軽と思たけど家コンピュータもってたらソラ荷物おもいて。ドアが閉まり、箱が動き、ドアが開いたらそこはトーキョー駅だった。お茶の水の宿に荷物置き、半蔵門線で青山のくるくるホールで住吉さんと合流。来月やるイベントの下見で青山の土のある空間へ。こーすけ。の個展の最終日に戌井さんとまた何かして騒ぐのだ。その戌井さんと六時ごろ連絡が取れ、いまタマさんの働いている店にいる、てなことでその料理屋へ。タマさんひさしぶり、戌井さんはモロッコ帰り。ビールで乾杯し、干物、冷や奴、焼き茄子など食べる。バカーニバルに出演させてもらうことになる。近所のシャンソン小屋「青い部屋」で戌井さんのリサイタル。見ながらガムを噛んでたら、ア、やってもうた。奥歯に薬いれてはめてあったフタがガムといっしょに取れた。トテモ悲しい。

2009年5月12日(火)
朝から猫文字日記。猫ナーウーと鳴く。園子さん庭で窓枠掃除。午前中、白川通りの目医者へいき、帰りに自転車で思いついて久しぶりに真如堂へ。寺も道もなーんにも変わってない感じ。聖護院の前を通って家に帰る。昼は河原町の東南アジア料理屋へ。園子さんドライカレーあたいはカレー?。カーラカッタ、ゲタゲタ。午後は創作。夕方の五時からタオ指圧。これは中日から阪神に映った元野球選手がバットでぐりぐり押してくれるという指圧でなく道教のタオのこと。経絡を押して邪気を外へ流す、ということをやる。よく効く、というより、いしいさんのからだはスゴクよく流れますねー、と呆れ気味にいわれる。終わって、先にはいっていた園子さんを追って南座へ。「小笠原騒動」、前から三列目。ビニールのエプロンを渡されるのは、すばらしい水遊びの歌舞伎だからで、ジャバジャバ飛沫が飛んでくる。芝居もそうだけれど、エライさんがいなくて、若い人らが自由にやりまくってるという感じがたいへんおもろかった。雨上がりの道をうろうろ歩いて家にたどりつき、自転車で河原町あがってイタリア料理っぽい軽食屋。トマトスパ、九条ねぎのピザ、茄子の漬け物、いろいろなサラダ、チーズとトマト。外でたら水遊び、ではなくて小雨。傘もなく自転車でダッシュで帰る。イタリアの自転車レースは晴れていた。よかった。

2009年5月11日(月)
午前中クロワッサン終わる。午後はチョト創作ネ。三時にあさしひんぶんカワイさん来られ、いつもの喫茶店に行こうとしたらしまっていて、クライほうにしました。夷川ダムのところで写真を撮られるのは近所の人が前を通りかかってオダヤカじゃないね。インタビューなどすべて終わり五時に自転車で天王町の目医者へ。ここも対岸の女神様に教えていただいたところ。ときどき目が見えないようになること、コンタクトレンズをすると痛いことなど話すと細心の検査し、ユッコさー、自分の目んたまのなかなんか見たことなかったヨ、ダッテ目だシ! 目薬をさしてしばらくおいてから写真撮りまんのや。目がボヤーなりますから自転車は気ぃつけて帰ってくらはい。アイ。丸太町通りを時速50キロで走り家まで五分。豚すでにシャブ状態、生麩と水菜、グリーンピース、肉じゃが、ゴマ豆腐、鰆の西京焼き。食事の途中園子さんが座り直し、きょう、大事件があったのです、気づきませんか、とうので首を振ると、チョット一周して見てきてください、という。一周でわからず、二周、三周でア! と気がついた。階段の下のところのガラスが新品になってる! 聞けば、ここ数日通り側のガラス戸をはずし拭き掃除をすることに人生をかけている園子さんが、座敷に新聞紙を敷いて、たてかけておいたところ、風もなにもないのにグワッチャーンと倒れて一枚だけ割れた。園子さんは唖然としながら丸太町の駅の上にガラス屋さんがあるのを思いだしタタタと猫の足で駆けていった。ガラス屋さんに来てもらい、アー、これやったらすぐ直しまっせというのを聞いて、園子さんはハッと階段を下りた正面のガラスが、引っ越してきて以来ずっと、ビニールテープで補修してあったままなことを思いだし、それも合わせて新しいガラスをはめこんでもらった。きっと、この家のごりょうはんが、ここ、ガラス、ここ、ガラス、とずっといっていたのをこちらがききとらないので、もー、はよ、はよ!とガラス戸を押したのや。ナールホド。そして園子さんは上海旅行。イタリアの自転車レースはペタッキ二勝目。

2009年5月10日(日)
午前中クロワッサンだす。昼からバスでぐるりと九条の映画館ミナミ座へ。映画「小三冶」見る。本物の落語と人間。途中で映るらくだの高座スゴイ。扇橋の揺れる感じが楽屋でも温泉でも発揮されていた。映画と落語の時間の感じが合ったときドキュメンタリーとか映像という切り分けは意味がなくなる。見終わった後ミナミ座の会に入会してから、バスで四条河原町まで出、新刊書店をまわってみるけどなかなかこれというの見つからない。コーユー日もあるよネ。海岸線の歴史、マルケスのマニア本など買い、寺町の三月書房でようやく残雪「暗夜」に会う。寺町を歩いて帰りながらよさそうな日本酒の場所、シャンパンの場所物色する。晩ごはんは、めばるたけのこ、たけのこごはん、きぬさやときのこの卵とじ、菜の花のおしたし、丸竹の茄子、鯛の塩焼き。ジロ・ディターリア二日目。ペタッキが復活しイタリアじゅうが盛り上がる振動がいま地底から伝わった。

2009年5月9日(土)
午前中チョイ創作。昼からチョイ部屋を掃除。午後四時に森さん来る。家で小説、宇宙の話。森さんは僕が二十代で浅草に住んで偽バーテンやってる頃にお客さんとして来てくれ、店が終わってから朝まで飲んだり、編集者のなかでも僕をもっとも昔から知っている編集者で、当時は文学界の編集者だったけれど、しばらくそこを離れ、この春ブーメランのようにまた文学界に戻ってきた。そして京都で同じように小説の話をしているとはなんという不思議なことだろうか。園子さんが老松の果物の和菓子買ってきてくれる。気づくともう六時過ぎで慌てて用意し、森さん、園子さんと三人でますだ。きずし、たけのこ、生湯葉、いわし、ひじき、焼き鰆など食べる。森さんとの話尽きず。それからいそむらへ。カウンターで三人ウイスキー系の飲み。気づくと0時半。森さんはホテル泊で明日仕事だといって夜の祇園に消える。余韻を引きずり園子さんと東山を北へ歩いて家に帰る。

2009年5月8日(金)
池田さんと11時半頃まるいち食堂。めといか刺身、あじ刺身、カマス塩焼き。ビールはなし、といって食べはじめたのにいつのまにかオヤ、テーブルにビール壜とグラスが。池田さん見送り、アタイは掃除し、左半分ガチガチで東京駅へ。丸善で物陰から高頭さんに飛びつくとバラララと本落としはって悪かった。高頭さんは東京駅の北口のところの丸善に移ったのだった。キャイキャイ中学生のように喜び合う。隣の丸の内ホテルで須貝さん、加藤さんと待ち合わせ。書類や数字のことなど話す。四時過ぎに新幹線。七時に帰宅しからだを伸ばして風呂。佳菜子さんより豚とどいているブギッ。豚シャブで食べるビギッ。こないだ買うたたけのこと若布、丸竹の茄子、たけのこサラダ、ほたるいかの酢みそ和え。マーそうですかという話。左半分はコチコチのママ。ボニーのなめくじパパから嬉しい便り。

2009年5月7日(木)
サーテト。京都こじき袋、て誰のこっちゃい! 京都駅で修学旅行生がみんなマスクしててアンパン中毒かと思った。新横浜まで渡辺格「人間の終焉」ヨム。京急で三崎口、バスで日の出。パタパタ掃除しているうちドーモーと玄関で声がして池田さんやってくる。日本酒の一升瓶を二本もってくるというのも池田さんだ。アタイ無理。オモイシ。夕方にまるいちへ行き、座敷で宣さん、美智世さん、スグルくんらとヒミツ会議。皆ちゃんと大人で無事終わり、マー飲むべ、といって音由にいこうとしたらしまっていた。松風へいく。刺身盛り、いろいろ天ぷら、キンメ煮付け。宣さん日本酒のんでご機嫌。この連休中さすがに足が張っちゃったワと美智世さん。野地くんが去年のように蒸発することもなくヨカッタ。池田さんと一升瓶抱えて家に帰りレコードをかけながら話す。話す時間は深くなっていくが後からそれを言葉ですくいとることはできない。三時頃布団敷いてネル。耳に雨音や金属音、波の音がこだましている。

2009年5月6日(水)
午前中創作。昼前に地下鉄、嵯峨線と乗り継ぎ嵐山へ。駅の改札で喜多さんに迎えられ、すばらしいフランスレストラン。喜多さんと園子さんは子羊、アタイは牛。モウ。ウマ。野菜スープにんじんスープ。ちょっとだけ薫製した鮭が舌で踊るチャッチャッ。ゆっくり出てくるのもたいへんよし。昔は高めだったそうだが安くした途端客足がタップダンスくらいに繁盛になった。雨あがってる。池のほうへ、すごい家、並んでいる干支の人形、野菜の無人販売。すばらしい池、池之端の喫茶コーナーも天国感があってすばらしい。北嵯峨のほうを歩くと、たけのこが、たけのこが、たけのこが。また驚いたのは野菜の自動販売機。いわゆるコインロッカー、透明な扉の向こうに、100円で木の芽、150円でほうれんそう、300円でたけのこなど売っている。たけのこは売り切れている。園子さんほうれんそうとパセリと菜の花買う。たけのこを売る元かぐや姫がいた。ステビアと書かれたエプロンをつけた農家の七十歳くらいの女性。おじいさんがノコギリで竹切るとき、ここの頭の傷、ギリギリやったんやで。園子さんは太くて500円のたけのこを買う。そして喜多さんの素敵なオウチ。内装の計画が完璧。自家製の牛たたき、とうふとぼんたんのサラダ、アボカドとエビサラダ、煮玉子とチーズ、ワイン、モーうまい。デズニーやオールモーストのマジックについて話す。あっという間に深夜。帰りは嵐電、地下鉄と乗り継ぎ、丸太町まで濡れずにたどりつく。アレやね、雨に濡れるというのは僕は好かんね、とスイカ模様の髪のあんちゃんがぶつぶついうてはる。風呂はいり、ボニーのエッセイに感涙。words without borders (http://www.wordswithoutborders.org/?post=ElliottIshiiBlog と、http://www.wordswithoutborders.org/?post=ElliottIshiiBlog2でヨメマス。)前のめりにスー。

2009年5月5日(火)
コドモの日。タイガーくんに深々と挨拶。午前中は創作。えらいこっちゃ。昼過ぎ上賀茂神社へ。古来の競馬、くらべうま。こまくらべともいふ也。たいへん長い埒の両側に観覧席ができてい、流鏑馬は2000円だったがこちらは観覧料500円。隣でデジカメ族がのびあがったり立ち上がったりしてまわりの人が閉口するという図はここも同じ。はじめの馬が駆けてきたときは驚いた。ただの動物でなくなにか「勢い」そのものに強い足が生え、土を蹴って一気に目の前を駆け抜けていったかにみえた。1レース二頭ずつ馬が出て六戦まで戦われる。はじめの競走は左手の騎手が勝つことははじめから決まっていて、本番のレースはつまりそれから五戦、そして最初の二戦目がもっともレベルが高くもりあがるのだそうだ。といって着順だけが勝敗をわけるのでなく、乗り手の美しさ、勇壮さ、スタートのタイミングなど、総合的に判断して審判が判定をくだす。スタート時左右の馬は顔をこすりつけそれが合図で走り出すというがちょうど相撲の立ち会いのようなものかしらん。そして二戦目はすさまじい競馬だった。黒と極彩色のかたまりがふたつ左の空間から右の空間へ瞬時に移動して消えた。いったいゴールを越えてどこまでいくのだろうと、席を立ってゴール地点からさらにさらに馬場沿いに歩いていったら、そこは緑深い森で、三戦目の馬二頭はドワーと砂煙をたてて森のなかへ駆けこんでいき見えなくなった。きっと千年前からいまも森の奥を走りつづけている馬がいるだろう。終わりしな小雨ふってくる。馬場はゴール過ぎてから湾曲していてそのカーブのところに常連風の一眼レフのおっちゃんらが陣取り、ここがベストな場所だと教えてくれた。来年はココデ。雨のなかしゃーないのでタクシーで家へ。本降りになり、台湾人青青ちゃんのLPかけて気を静める。晩ごはんはおから、コンビーフとトマト、はもと水菜の吸い物、茄子の漬け物、カレイ煮付け、キムチチヂミ。馬かった。コドモの日らしいコドモの日だった。

2009年5月4日(月)
朝起きると曇り。パンうまいなー。昨日一斤買ったのに一枚だけ残っている。朝から創作。ウワー、そうなりまんのんか、という出だし。あっちこっち見ながら思いだして書く。昼過ぎ網戸、襖問題勃発。鴨川を渡り、重い物をもちあげているとすごい輝きを発しながら近づいてくる人がいて、よくみると新元さんだった。5月1日。無事男児誕生。そうかー。新元さんはひとりが長いので自炊もだいじょうぶ。赤ん坊の体重もだいじょうぶ。どんなことにせよさー、増えるっていうのはオメデタイことだよね、と美智世さんの名文句を伝える。昨日のパン屋ボンボランテにパン買いに行ったら食パン売り切れでオリーブの埋め込みパン、バターの皮パリパン、田舎パンを買う。蜷川さんにいただいたコンビーフ、エフの尚人にもらったワインに腰砕け、こりゃースゴイ。晩ごはんは、トマトとえんどうとレタスのサラダ、チーズ、鶏のトマト煮、とにかくパンを食べるための献立です。クレイジーケンバンドのLP三連発。スカという名のついた猫と園子さんイーネイーネ連発。横浜は遠いので神戸の南京町でどうでスカ。イギリス人の画家からイーメール。こないだ鴨川を走っていてレコードプレイヤーをほめてくれた彼とも音楽の縁。

2009年5月3日(日)
晴れ晴れ。タイガーくんに口琴聞かせてあげる。昼過ぎに鴨川沿いをノボル。こういう季節はいちゃいちゃの若いカップルもえーもんだんな。ア、猫か。下鴨の学生島はあいかわらず。そして糺の森は流鏑馬一色に。一の矢のところへ園子さんと並んで陣取りオニギリを食べる。ウーマイ。まわりを見渡すと外人さん多い。そしていっそう外人なのはデジカメ。というのも席がぎっしりやのに中年のおばはんは馬が近づいてくるたびに立ってグイーと身を乗り出し、うしろの老人やワシらの視界がなくなるので、何回かされたあと、アノー、すんませんけど座っといてもらえません、いうたら、アラ、ごめんなさい、いうて一旦は座るが、また何か来たらグイーて身を乗り出す。デジカメのファインダーのなかにしか彼女らの世界はない。そこにはいってないものは存在しないのだ。デジカメ趣味は日本の中年女性が昔からもっていたなにかを確実に破壊してる。ついに流鏑馬の馬が来る。アー、インヨー、インヨー、と叫ぶのは陰陽をいっているのだ。へー、ロバの鳴き声じゃないんですか、へー。四組まである。一組目がすごいレベル高いのは神事やから。最後の流鏑馬で隣のおばはんがもう滅茶苦茶に立つのでアノーと肩を叩いたら、ふり返ってグワーと歯をむいた顔が悪鬼のようだった。コワー。歩いて帰る途中、出町柳で豆腐とおから130円。河原町のパン屋がものすごいいい空気を発していて、菓子パンや食パンを買い、園子さんは我慢たまらず歩きながらモグモグとパン食べはじめる。帰ってタイガーくんと野球。ふたり野球は球とりにいくんがメッポー走りまんねんな。家に帰ると園子さんが台所でチーズケーキのみならず食パンまでも食べていた。晩ごはんは青魚特集。茄子漬け物、おからと野菜の炊いたもん、冷や奴、アジ南蛮漬け、イワシ焼き浸し、もやし豚肉炒め。そしてすごいおいしいパーン、パパーン。ちょっと危険な味さえする強烈な食パン。こういうのを食べつけると人間はマリー・アントワネットになっていっくんやろね。天皇機関説のテレビ番組見る。寝床がなければ食パンを敷いて寝ればいいじゃない。

2009年5月2日(土)
晴れ。イタクナイ! イタクナイ! 叫んでジュリー・アンドリュース顔でトララ。午前中創作と日記。昼にタイのアラを食べ、昼過ぎに平安神宮へショウブの具合みにいく。まばら、けど、咲いているところには輝く光が。そして睡蓮の花が咲いていて生きるていうことを思た。園子さんと別れ歩いて三条河原のむつみでフィルム出し、中古レコード屋は多少おしゃれな外見でもなめたらあきまへんね、V ディスク集のLP二枚みつかった。牛。家に帰って酒屋さん。酒屋と小説の共通点について熱く話す。晩ごはんは、白と緑のアスパラ、冷やしトマト、野菜ときのこと豆腐と豚のすまし汁、黒鯛の煮付け、自家製鰆の西京焼き。ウーン、やっぱイタクナイ。

2009年5月1日(金)
七転八倒の歯痛。いま腕を切り離されたり尻をもがれたりしても、この歯の痛みのせいで別にわからへん、というくらいの歯痛。左の上の奥歯。左頬を畳に押しつけてグアー、グアー、叫びながら足をばたばたさせて回転する。園子さんの痛み止め飲み、モーローとする頭で、モシヤ、と思いつき連絡をとった。そして女神様が。鴨川の対岸から、近所のここはいいという歯医者さんを紹介してくださる。アリガタヤの鐘響きわたる。昼前に出かけていきベーシストの歯科医の先生から根本的な治療の方針を説明される。アイ。ナンデモ。二日酔いの女性。左のその歯は中途半分に死んでいる、とのこと。とにかくあの痛みから解放されるんやったらワシ犬にでも虫にでもなるよ。家に帰ると喜多さんはこたつでじっとリンゴを見つめていた。ウイー。少し口を冷やしつつ休み、スクーターで帰る喜多さんを見送る。晩ごはんは、トマトサラダ、豆腐ステーキ、和風チヂミ、茄子とトマトのチーズ焼き、ほうれんそうともやし炒め。食べられるてすばらしい! スバラシイ!

ごはん日記でおなじみの
「まるいち魚店」
▼新刊 発売中▼

●「四とそれ以上の国」(文藝春秋)より発売中

いしいしんじ

【PROFILE】
作家。大阪生まれ。現在、三浦半島の三崎と信州の松本に在住。著書に小説『ぶらんこ乗り』『トリツカレ男』『麦ふみクーツェ』『東京夜話』(新潮文庫)『プラネタリウムのふたご』(講談社文庫)『ポーの話』(新潮社)『みずうみ』(河出書房新社)など、エッセイ・対談『その辺の問題』(中島らも共著/角川文庫)『人生を救え!』(町田康共著/毎日新聞社)などがある。お酒好き。魚好き。メカおんち。きれい好き。

いしいしんじの水洗コーナー
2009.09.10
アトリエダンカン「トリツカレ男」
湯浅湾 港
主演の原田郁子×いしいしんじの対談です!
natalieの特集記事はこちら>
【最近の仕事 2/18更新】
▼ 出版予定 ▼
●単行本「赤ずきん」文いしいしんじ 絵ほしよりこ
(フェリシモ出版)
▼ 出演・催し物など ▼

new
●「ことばの使い方特別編 —対談—
男と女の小説作法」 角田光代×いしいしんじ

日時:3月22日mon./holiday 19:00-21:00
場所:shin-bi 
参加費:2000円
お申し込み:
e-mail >>
fax >> 075-352-0844
はがき >>〒600-8411
京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地
COCON烏丸 3F shin-bi
ワークショップ名、氏名、ご連絡先(住所、電話番号)をお送りください。

詳しくはこちら >>

●いしいしんじの花まつり
@曹洞宗 萬亀山 東長寺


日時:4月8日(木) 開場19:30/開演19:45 
会場:曹洞宗 萬亀山 東長寺
東京都新宿区四谷4−34 TEL: 03-3341-9746
丸ノ内線新宿御苑・四谷三丁目駅/都営新宿線曙橋駅 各駅より徒歩7分

【内 容】
「その場小説」と「蓄音機」の二本立てです。まず、お経を詠んでもらったあと、小説をその場で書きながらマイクで読んでいく、ということをやります。どういうものになるか、その時になってみないとわかりません。原稿のコピーを一枚ずつ、来場した皆さんにさしあげます。それから、ブルース、ロックンロール、ジャズから 得体の知れない音源まで、20世紀の様々な音楽の、 オリジナルの音源であるSP盤を、 最強のタイムマシーン・蓄音機で聴いていただきます。「レコード」とは、こういう音がするものだったのか、と驚愕することうけあいです。
(いしい)

入場料:1500円
ご予約メールはこちら(住吉智恵)>>
お問合せ:東長寺 03-3341-9746

▼ 連 載 ▼
●「自転車日和」(辰巳出版)にて
エッセイ「自転車A面B面」
●「京都新聞」夕刊 第1・第3月曜日にて
「京都猫文字日記」 こちらでご覧いただけます>>
●「真夜中」にて長編小説「雪」
●「読売新聞」にて「本のソムリエ」(不定期)
●「クロワッサン」にてエッセイ「ああ驚いた」
●BAR FLOWにて小説
「みち子の叫び」(CLIPPING 310141)
スクラップブックを使った佐藤理との共同作品
「祝い酒」(POSTER 141310373)ポスターを使ったOSDとの共同作品
ほぼ、月一回連載中

BAR FLOW
港区赤坂8-13-19インペリアル赤坂一番館地下B102
TEL.03-5474-1885
(18時から26時まで営業、日祝休み)

▼ 寄稿・書評・コメントなど ▼

●週刊文春9月11日号に書評 
「四人の兵士」ユベール・マンガレリ著・田久保麻里訳
●別冊文藝春秋四月号にて短編小説
「渦」
●芸術新潮4月号にて紀行エッセイ
「バルザックの家とフジタの家」
●考える人春号にて海外小説
ベスト10アンケート+ドストエフスキー『白痴』エッセイ
同人誌「イルクーツク2」に小説
「塩浄瑠璃」

●別冊文藝春秋1月号に小説「峠」
●芸術新潮12月号にエッセイ
「踊るきのこ 南方熊楠の菌類図譜」
●週刊文春12月6日に書評
「灯台守の話」 (ジャネット・ウィンターソン著・岸本佐知子訳)
●別冊暮らしの手帖
「わたしの好きなインテリア雑貨」
にてエッセイ「わたしと本棚」
●かまくら春秋11月号にて
エッセイ「野性のエレキ」
●エスクァイア12月号にて
エッセイ「ハワイをやる」
●新潮社「波」11月号にて
「ジョン・アーヴィング『また会う日まで』刊行記念座談会」
●「圓太郎馬車」(正岡容著・河出文庫)に解説
●本の雑誌8月号にてエッセイ
「私のオールタイムベスト10 ばさばさと「めくって」きた本たち」
●飛ぶ教室夏号にて
短編「リキテンシュタインの法律」
●「西の旅」夏号にて短編小説「船」
●「パピルス」8月号にて短編小説「小包
●「ナンプレファン」8月号にてエッセイ「自分でも呆れる思いこみベスト9」
●東京人6月号にて座談会
「作家と画家、街の歩き方」
鬼海弘雄×大竹伸郎×いしいしんじ
●銀座百点五月号にてエッセイ「タッちゃんとカッちゃん」
●新刊展望五月号にて対談「『みずうみ』の水面と水底」(デザイナー・池田進吾氏と)
●ビッグイシュー日本版
69号にてインタビュー
特集「わからないからおもしろい」
全国のホームレスが駅前などで一冊200円で売っています。110円が販売者の収入になります。 
●「パウル・クレー 絵画のたくらみ」(新潮社・とんぼの本)にエッセイ「オルフェウスの庭で」


【e-mail address】
mail@mao55.net
【mao55編集部からお願い】
上記メールアドレスで、いしいしんじさんへ連絡をとられる方はメールのタイトルを「mao55編集部【いしいしんじのごはん日記】」と入れてください。「はじめまして...」、「○○と申しますが...」、「ご無沙汰して..」、「至急...」、「会ってもらえませんか」などのタイトルはジャンクメールと処理される場合がありますので、お願いいたします。

【主な著作】

●「三崎日和-いしいしんじのごはん日記2」新潮社より発売中
●「東京夜話」新潮文庫より発売中
●「いしいしんじのキューバ日記」マガジンハウスより発売中
●「いしいしんじのごはん日記」新潮文庫より発売中
●「雪屋のロッスさん」
メディアファクトリーより発売中
●「人生を救え!」
(町田 康 :いしい しんじ)角川文庫より発売中
●「人生を歩け!」
(町田 康 :いしい しんじ) 毎日新聞社より発売中
●「トリツカレ男」
新潮文庫より発売中

坪田譲治文学賞受賞作
●「麦ふみクーツェ」
新潮文庫


●「ポーの話」
新潮社

●短編集
「白の鳥と黒の鳥」
角川書店

文庫版「ぶらんこ乗り」は、新潮文庫の100冊にはいりました。
●『ぶらんこ乗り』
新潮文庫

●『絵描きの植田さん』
ポプラ社


●『プラネタリウムのふたご』
講談社


第18回坪田譲治文学賞 受賞作品
● 『麦ふみクーツェ』
理論社

●『トリツカレ男』
ビリケン出版)

【amazon.co.jpで買える
いしいしんじさんの著作本はこちら】


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